i remember nothing

文章の練習も兼ねています

次の町まで、きみはどんな歌をうたうの?(柴崎友香)

読んだ。

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保坂和志の「小説の自由」で紹介されていた同作者の「きょうのできごと」を購入するついでに購入した。 表題作と、併録の「エブリバディ・ラブズ・サンシャイン」が収録されている。 なかなか面白かったので記録しておく。

何を表現しているか

この小説の中では特段変わったことやドラマチックな展開もないし、主張的な描写もない。一人称視点でただただ日常が進んでいく。主人公の視線の移動、こう思ったからこうした、主体としての感情の描写、それだけがただただリアルに描かれている。 だからこそ「主体としての感覚」を受け取ることができる。

たしかに記憶にはあるのだけれど、普段は体感しようとしてもできない感覚(たとえば子どもの頃、祖母の家で一人寝る前の感覚のような)をふと日常の中で感じることがあるように、一人称視点での肌や視線、空気が非常にうまく、いやみったらしさも無く描写されている。そこが面白い。

例えば、ああ犬がいるな、犬が横断歩道をカツカツ歩いているな、みたいな「普段意識もしないのだけれど無意識的に認知していること」を自然に描写している。

ライブのシーンが良い

作品中にスピリチュアライズドのライブのシーンが出てくるのだが、そこもいい。ライブハウス独特の感覚を自然な文体を持って表現している。湯気がスポットライトに照らされている感じとか、轟音の中で眠たくなってしまう感覚とか、とにかくリアルに表現されていて面白い。

作者は洋楽やライブハウスが好きなのだろうか、「エブリバディ・ラブズ・サンシャイン」には複数回ライブハウスのシーンが出てくる。

スピリチュアライズドを知らない人は、聴いてみるとより楽しめるかもしれない。

スピリチュアライズド 宇宙遊泳 https://www.amazon.co.jp/dp/B0006SLD3O/ref=cm_sw_r_cp_api_TgIOxb3W2W573